道路面の舗装の劣化による動摩擦係数変化とその影響

路面は、車両の安全な走行を支える重要な要素です。完成時には適切な状況であっても、時間の経過とともに路面が劣化し、動摩擦係数が変化することで、クルマの走行安全性に重大な影響を及ぼします。ここでは、舗装の劣化がどのように動摩擦係数に影響を与え、その結果として生じる安全性の問題について探ります。

舗装の劣化と動摩擦係数の変化

道路の舗装は、主にアスファルトやセメントコンクリートで施工されています。これらの材料は、日々の交通荷重、気象条件、温度変化などの影響を受け、次第に劣化していくことが避けられません。舗装の劣化には以下のような現象が含まれます。

  1. 摩耗:タイヤと路面の接触による磨耗は、表面の粗さを低下させ、動摩擦係数を減少させます。新しい舗装は通常、高い動摩擦係数をもっていますが、使用されるにつれて徐々に摩耗し、摩擦抵抗力が低下します。
  2. ひび割れ:温度変化や交通荷重により、舗装にひび割れが発生します。ひび割れが進行すると、水分が浸透しやすくなり、さらに舗装が劣化する原因となります。これにより、動摩擦係数が不均一になり、滑りやすい箇所が発生します。

動摩擦係数の変化が与える影響

動摩擦係数の減少は、クルマの走行安全性に深刻な影響を及ぼしかねません。以下はその具体的な例です。

  1. 制動距離の延伸:動摩擦係数が低下すると、ブレーキをかけた際のクルマの制動距離が伸びます。劣化した路面では新しい舗装路面に比べて動摩擦係数が小さくなる可能性があり、制動停止までにより長い距離が必要となります。これにより、追突事故のリスクが増大します。
  2. 操縦安定性の低下:道路のある区間において動摩擦係数が不均一な場合、タイヤが路面の箇所によって異なる摩擦抵抗力を受けるため、安定した操縦が難しくなる可能性があります。特に高速走行時には、クルマが予期せぬ挙動を示す可能性があり、ドライバーがコントロールを失う危険性があるため注意が必要です。

対策と管理

道路管理者には、定期的な点検とメンテナンスを通じて、舗装の劣化を管理し、動摩擦係数を適切な範囲に維持することが期待されます。具体的な対策には以下のようなことが考えられます。

  1. 定期的な摩擦係数の測定:スキッドテスタやDFテスターを使用して、動摩擦係数を定期的に測定し、劣化箇所を特定します。
  2. 迅速な補修作業:ひび割れやポットホール1を早期に補修することで、さらなる劣化を防ぎ、摩擦係数を維持します。
  3. 再舗装:劣化が進行した場合、全面的な再舗装を行い路面の品質を回復します。

まとめ

道路面の舗装の劣化は、動摩擦係数の低下を引き起こし、クルマの制動距離や操縦安定性に悪影響を及ぼします。定期的な点検と適切なメンテナンスを通じて、動摩擦係数が管理され、道路の安全性が確保されることが重要です。これにより、事故のリスクを低減し、ドライバーにとって安全な走行環境が提供されることが期待できます。

  1. 路面の劣化によって形成される小さな穴のこと ↩︎